セロリとアライグマ
「……風呂入ってきたの?」

「うん。いつものことだから」

オレは一瞬変な想像してしまった。
すぐにそれをかき消したが。

一応思春期の男子なんで。

でもそれよりも、学校から帰ってきてすぐ風呂入るのもどうかと思う。

オレなら絶対面倒くさくて夜にならないとシャワー浴びない。


「学校から帰ってきていっつもすぐ風呂入ってんの?キレイ好きだなー……」

オレはハッと口を抑えた。

まずい、こんなこと言っちゃいけなかったんじゃないだろうか。

案の定、新伊の表情は沈んだ。無言のままオレの向かいに座り、テーブルにポスターを広げた。


「…学校から帰って、部屋に『学校のモノ』を極力持ち込みたくないの」

「え?」

「だからカバンを玄関において、制服は真っ先に一階で着替えて、お風呂入って。いつもはお風呂も40分以上入ってるんだけど今日はがんばって急いじゃった」

新伊は無理してオレに笑顔を見せる。

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