セロリとアライグマ
「今日、かぼちゃコロッケなんだ。山崎くん、何か嫌いなものとかある?」

「…セロリ」

それを聞き、新伊はまた笑い出す。

「そっか。じゃ、作ってくるね。あ、ポスターもういいよ。あとやっておくから。その辺のマンガ引っ張って読んでていいよ」

新伊は楽しそうに部屋を出て行った。


オレはポスターカラーを持っていた手を止め、ふぅと息を吐いた。
窓の向こうをみると、もう日は沈んでいた。

とりあえずポスターは大体出来たから、ペンを片付けようとした。

すると、肘で突いてテーブルから物を落としてしまった。



先ほど目に留まった新伊のものと思われる薄紫色の手帳。



読んではいけないと思うほど、読みたくなるのが人間の心理だろう。



オレはそぉっとその手帳に手を伸ばした。

そしてゆっくりと手帳を開く。

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