セロリとアライグマ
そうだ、新伊の母親に「強行性障害」のことを言えばいいのかもしれない。
直接本人に言うよりいい。
それだったら母親がなんとか処置方法を考えてくれるだろう。
「…毎時間10分は洗ってますケド…」
「そう……」
母親はオレの言葉を聞き、ため息をついた。
やはり手を洗っていることは知っているようだ。
新伊本人は、オレと新伊の母親がこんな会話していることにも気づかず、せっせと茶碗を洗っている。
「今年の2月か3月頃からだったかしら。それまで学校から帰ってきて普通に着替えて普通に生活していたのに、突然帰ってくるなり玄関で制服を脱ぎだしたの。『汚い。汚れている。こんな服で部屋に入りたくない』って。私が『どこが?』って聞いても唇をかんで苦しそうな顔をするだけ。それから下着のままで走ってお風呂に行ったの。40分以上出てこなかった。出てきても、今度は手を20分以上も洗っているの」
「……」
「それからは毎日。玄関の棚にカバンを置き、制服はさっさとぬいでお風呂に入る。学校から持ち帰ったものを触った後はかならず手を洗う。それが普通になった」
母親はつらそうに話す。
その表情を見ていたらオレまでなんだか苦しくなってきた。
「下の弟も心配して、ヒサに『病院行ってこい』って行ったのよ。でもあの子、『大丈夫、心配しないで』って笑うの。でもどう考えても普通じゃない。家にいる間はそんなに手を洗わないのに」
「あの、それって……」
オレは小さく声を出した。
直接本人に言うよりいい。
それだったら母親がなんとか処置方法を考えてくれるだろう。
「…毎時間10分は洗ってますケド…」
「そう……」
母親はオレの言葉を聞き、ため息をついた。
やはり手を洗っていることは知っているようだ。
新伊本人は、オレと新伊の母親がこんな会話していることにも気づかず、せっせと茶碗を洗っている。
「今年の2月か3月頃からだったかしら。それまで学校から帰ってきて普通に着替えて普通に生活していたのに、突然帰ってくるなり玄関で制服を脱ぎだしたの。『汚い。汚れている。こんな服で部屋に入りたくない』って。私が『どこが?』って聞いても唇をかんで苦しそうな顔をするだけ。それから下着のままで走ってお風呂に行ったの。40分以上出てこなかった。出てきても、今度は手を20分以上も洗っているの」
「……」
「それからは毎日。玄関の棚にカバンを置き、制服はさっさとぬいでお風呂に入る。学校から持ち帰ったものを触った後はかならず手を洗う。それが普通になった」
母親はつらそうに話す。
その表情を見ていたらオレまでなんだか苦しくなってきた。
「下の弟も心配して、ヒサに『病院行ってこい』って行ったのよ。でもあの子、『大丈夫、心配しないで』って笑うの。でもどう考えても普通じゃない。家にいる間はそんなに手を洗わないのに」
「あの、それって……」
オレは小さく声を出した。