セロリとアライグマ
みんな楽しそうに休み時間誰かと話をしたり、もってきたスナック菓子を食べたり、昨日のドラマの話をしたりしているのに、新伊は違う。


新伊はいつも一人だ。


誰とも何も話さず、いつも一人で行動し、何もかも一人でこなす。

なぜなら、彼女は他の女子からシカトされているからである。

他の女子というか、クラスで中心となる女子の5人グループからと言った方が正しい。オレに「セロリ」とあだ名をつけたあのグループだ。

イジメとまではいかないだろうが、誰も新伊と話そうとはしない。

その5人からシカトにされればクラス全員からシカトにされたも同然みたいな空気がこのクラスにはある。

1年の時は、新伊はその5人グループの中にいた。

あまり目立たない存在ではあったが、細身の体でおとなしめな新伊はかわいらしかった。
皆はいているルーズソックスも履いていない。靴下を引きずって履く女の中にいると、なんだか清潔感すら感じる。



そんな新伊が、ある日から1人になった。

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