セロリとアライグマ
9月の末、委員会があった。前期の反省会だ。

新伊とオレは大した会話もせず、前期最後の委員会に参加する。

内容はポスター提出が遅かっただのゴミ拾いに参加しないクラスが多いだの大した事ではない。


オレは、新伊の方ばかりちらちら見ていた。

新伊の手はガサガサになっている。手の洗いすぎ。


どうしたら新伊は手を洗わなくなるんだろう。

新伊は汚れている不安と手を洗う行為の悪循環にはまって抜け出せない。

病院、行かないんだろうか。

病院行って治るもんなら治さないとまずいだろう。じゃないと、新伊の行為は誰にも理解されることはない。


そう、きっと理解されない。



新伊が苦しんでいる事を知ろうとしないヤツには理解できるハズも無い。

イジメやシカトだって、やっている本人は大した事だと思っていないのだろう。


だがやられた本人は思い悩む。ずっとずっと。



新伊、一体どうするんだろうか。


そんなことばかり考えていたらそのうち委員会は議長が終わりを告げた。

皆席を立ち、カバンを持って視聴覚室から出て行った。

やっと面倒な委員会から逃れる事が出来たという安心のため息をもらしている。


オレもゼミがあるのでさっさと帰ろうとカバンを背負った。



「山崎くん」


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