セロリとアライグマ
今年の2月の終わり頃だっただろうか。
新伊が5人グループに「おはよう」とにっこり笑って声をかけても、5人は振り向きもしなかった。
誰も何も答えなかった。
新伊は少し唇を噛み、何も言わず自分の席に座った。
その表情は、窓側で佐野と早弁していたオレの目に焼きついた。
しばらくその顔が離れなかった。
クラスの奴らは「ケンカでもしたのか」とこそこそ話した。だが、ちょっと違うようだった。
新伊はその日から1人になり、誰とも何も話さなくなった。
新伊は、1年の3学期から、授業と授業の間の休み時間は席にいない。
別にオレも新伊を気にして見ていたわけではなかった。
だが、女子がこそこそと「また新伊さんいないよ」とか話していると、イヤでも新伊を目で追いかけ、席に居ない事を確認してしまっていた。
休みの時間席にいない理由、それは新伊がシカトされてから1ヵ月後の3月半ばになってやっと分かった。
オレはその日の2時間目と3時間目の休み時間、体育でジャージを体育館の更衣室に忘れたことに気づき、体育館へダッシュで取りに向かった。
そのとき、体育館に続く廊下にある女子トイレの窓にふと目がいった。女子トイレを覗こうとしたわけではない。
新伊が5人グループに「おはよう」とにっこり笑って声をかけても、5人は振り向きもしなかった。
誰も何も答えなかった。
新伊は少し唇を噛み、何も言わず自分の席に座った。
その表情は、窓側で佐野と早弁していたオレの目に焼きついた。
しばらくその顔が離れなかった。
クラスの奴らは「ケンカでもしたのか」とこそこそ話した。だが、ちょっと違うようだった。
新伊はその日から1人になり、誰とも何も話さなくなった。
新伊は、1年の3学期から、授業と授業の間の休み時間は席にいない。
別にオレも新伊を気にして見ていたわけではなかった。
だが、女子がこそこそと「また新伊さんいないよ」とか話していると、イヤでも新伊を目で追いかけ、席に居ない事を確認してしまっていた。
休みの時間席にいない理由、それは新伊がシカトされてから1ヵ月後の3月半ばになってやっと分かった。
オレはその日の2時間目と3時間目の休み時間、体育でジャージを体育館の更衣室に忘れたことに気づき、体育館へダッシュで取りに向かった。
そのとき、体育館に続く廊下にある女子トイレの窓にふと目がいった。女子トイレを覗こうとしたわけではない。