セロリとアライグマ
?!

「ワタシ、見たんだよね。駅前の総合病院の精神科から出てくるトコ。手ばっか洗ってるから頭おかしくなっちゃったんじゃないの~?」



新伊には、この言葉がどう聞こえた?


鋭いヤリのようだった?


衝撃の走る雷のようだった?




心無い一言が、新伊を痛めつける。



何も知らないくせに、適当な一言で新伊を苦しめる。



新伊はガタンと勢いよく立ち上がった。

あまりの勢いで後ろにイスが倒れてしまった。


クラスが沈黙に包まれた。

イスの倒れる音が教室に響く。



新伊は必死に手を押さえ、その場から逃げるように走って扉を開けて教室を去った。



彼女は手を洗いに行った。

< 96 / 123 >

この作品をシェア

pagetop