ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
白衣と赤縁のメガネ

新しい日々の始まり

週が変わった月曜日の朝、オフィスでの日々が再開する。


「今日も暑いなぁ」


街路樹の隙間から射してくる太陽光線の熱に溶けそう。
もうすぐお盆だというのに、日本の夏はどうしてこんなに暑いんだ。

手で陽射しを遮りながら歩く。
そんな私の前に見慣れた後ろ姿が見えてきた。



(ん?あれは……)


肩甲骨の端っこ辺りまであるストレートヘアを靡かせる女子。
相変わらず地味色のブラウスを着て、膝丈ギリのスカートを穿いてる。



(驚かしちゃえ!)


いつもなら足音を立てて近づくけど、今日はコッソリ忍ばせた。



「ケ〜〜イ♪ 」


語尾を上げて呼んだら、ビクッと背中が仰け反った。


「ひ、聖!」


目が丸くなってる。可っ愛い〜♪


「おっはよ~!今日もハッピーでしょ?」


グリグリと肘を押し付ける。


「おお、おはよう……」


狼狽えながらバツの悪そうな顔をした。
昨日知らされたばかりの真実を伝えにくそうに謝った。



「ご、ごめんね…。昨日は…」


LINEでも謝ったのに再び謝るとは律儀な子。


「イイって。ちょっと驚いたけど許してあげる!」


上から目線してんじゃないよ。
ケイが可愛いからいたぶってるだけ。


「しっかし、驚きだったなぁ。谷口さんが副社ちょ…」
「聖!」


シーッと指を立てられた。
残念。これはシークレットだったか。


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