ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「聖はせっかちね」


ケイは呑気に笑う。


「そりゃ、せっかちにもなるよ。何せ6年ぶりの彼氏になりそうな人に会うんだもん。ケイはもう相手がいるからイイよ。今が一番ハッピーだもんね」


だから、分からないんだよ。私がどんなに楽しみにしてるか。


「ハッピーか……うん、ハッピーかもしれない……」


笑いながら照れる。


「何よ〜、やっぱり惚気?」


ツンツンと肘で突いた。


「そ、そうじゃないけど……」


昨日の朝と同じことを繰り返して外に出た。
オフィスビルの地下駐車場では、白いスポーツカータイプの車が待っている。



(わぁ。なんかセレブな感じ)


ケイが緊張するから一々声には出さないけど。


(イイなぁ。彼氏がイケメンでお金持ちっていうのは)


何も知らないから単純に思った。
ケイは助手席側のドアを開け、運転席に座ってる人に声をかけた。

「大輔さん、お待たせしました」


「ああ」


副社長の声ってハリがあってイイんだよね。


「この度はお世話になります!」


負けじと声をかける。


「いや、何の。…乗れば?」


無駄口叩くの好きじゃなさそう。


「乗りまーす!」


ケイは前にどうぞと促し、後部座席のドアを開けた。

車内は微かなマリン系の香りが漂い、浅黒い肌の副社長には似合ってる。



(この男もナゾが多い人だよね)


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