ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「聞いたか?秘書らしいぞ」


ワクワクする子供のような顔を見せる。
大輔さんのお母さんは落ち着いた表情で受け止め、「はいはい」と、母親のように会長のことを宥めた。


「紹介が遅れました。祐輔と大の父親で、轟 拓磨(とどろき たくま)と言います。こっちは妻で、母親の沙百合(さゆり)」



紹介されてもう一度深く礼をした。

いい子じゃないか…と話す会長を、奥さんが落ち着いて…と抑える。

対照的な雰囲気にある二人を見ているところへ、バタバタと廊下を走ってくる足音がした。


荒っぽく障子の戸が開き、外から社長が顔を覗かせる。
入ってきた彼をよく見れば、体はシャワーを浴びた後のような雰囲気で、髪の毛からは雫が垂れ、肩にはぶ厚いバスタオルを掛けている。
上半身は裸のまま、下半身はスエットスーツのズボンのみを履いている格好。


ビックリしたのと恥ずかしいのとで目を逸らせた。
思っていた以上に筋肉質だったから思わず色気を感じてしまった。



「祐輔さん、何か着てこないと…」


私の様子に気づいたお母さんが声をかける。


ハッとした社長が慌てるようにバスタオルを引っ張り、見えていた胸元を隠した。




「なんで二人揃ってここにいるんだ」


珍しく狼狽えているような様子を示す。
会長は面白そうに笑い、「お前が女を連れてきたと聞いたからだ」と威張った。




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