ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
同じ家に住んでいるのに、兄嫁の真綾さんともあまり喋ったりしない方だった。

この最近飼い始めたという金魚の話だけは、仕様がなく話していたようにも見えたけど……。



「何だ、どんな子を連れてくるか気にしてるのか?」


私の悩みを知らない主人は、黙っている姿を見てそう思ったらしい。



「そういうことじゃないの」


そう答えてはみたが、当然信じてはくれない。

継父ではあっても、主人は大輔を思ってくれている。
オフィスの副社長として祐輔さんを助けてやってくれと言ったのも彼の方だ。


そう言われなければ大輔は何をしていただろうか。
やりたい仕事があるんだ…と、ずっと前に話していたのに。



(その話も最近は言わなくなったわね……)


私が再婚したことで、人生が大きく変わったのは大輔の方だと思う。
妻になった今も、それが一番心苦しい。

私は幸せになれた。
でも、大輔はどうだろうかーー。



不安を抱えつつ、ホテルのラウンジで大輔が会わせたいと言った人との対面を待ち構えた。

連れてくるのが女性だとして、一体どんな雰囲気の子だろうか。


中学や高校時代に交わっていた仲間のような感じだったらどうしよう。

金髪に近い髪の色だったり、派手なメイクをしている子だったら困る。


メイクは地味でも服装がいただけない場合もある。

私が良くても拓磨さんがノーだと言えば難しい。


今更ながら親としての心配をしても仕方ないと諦めた時、ホテルの従業員に連れられて二人がやって来た。


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