ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2

夫という名の男

背の高い大輔の後ろに隠されるようについて来た女性は、恥ずかしそうに頬をピンク色に染めていた。
長いストレートヘアをして、オフホワイトのワンピースを着ている。


「この間から付き合ってる乃坂 蛍さん」


彼女の前に立つ大輔の雰囲気がいつもと違って大人に見えた。
堂々と胸を張り、彼女のことを紹介してくれた。

前に引き出された彼女は戸惑うような視線を送り、それから更に頬を赤らめて目を伏せた。


「…は、初めまして。の、乃坂と言い、ます…」


震えるように見えた唇を隠すかのように手を口元に持っていった。
薄いメイクの施された顔は印象が良くて、私も主人も顏を綻ばせた。



「初めまして」


ホッとしたせいか、自分が先に声をかけてしまった。


「轟です。大がお世話になります」


主人を見て、彼女は少しだけ緊張した面持ちになった。
同じオフィスで働いていると聞き、会長だと気づいたからだと後で知った。



「お粗末な息子だけどよろしく頼むね」

「気が強いけど負けないで」


私達の言葉に緊張しながらも辿々しく返事をしてくれた。
吃ってしまったことが恥ずかしかったらしく、真っ赤な顔をしながらも深々とお辞儀をしてくれた。



(ふふ。可愛い)


出しゃばりでない所は好印象だった。
大輔が付き合っている女子を見たのは初めてだったけど、凄く安心させられた。


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