ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
ラウンジでお茶を飲みながら少しだけ話を聞いた。
蛍さんが急な異動に怖気づいてると聞かされた拓磨さんは、「気楽におやり」と彼女に言った。





「貴方というのは、本当に人の気持ちを軽くするのが上手ね」


昼食の誘いを断られ、二人で食事をしている時に褒めた。


「何のことだ?」


ランチプレートに盛り付けてある海老フライにタルタルソースを乗せながら聞く。


「さっきの蛍さんの仕事の話。急な異動ってだけでもドキドキなのに、あの子の雰囲気なら緊張も半端じゃなかったと思う。でも、貴方がしてくれた話を聞いて、少しは安心できたんじゃないかしら」


私が秘書の経験もなく仕事の面接に来た時と同じ。
一人で頑張らなくてもいいんだと、肩の力を抜くことを教えた。


「俺は本当のことを言っただけだ。あの部署の連中は、常に面白い物を作り出すことしか考えとらんから」


遊びが商品開発に繋がればいいという考えで作られた部署だと言った。
玩具メーカーなのだから、原点はそこでいいだろうというのが持論だった。


「聞けばあの子の叔父が部長をしているそうじゃないか、大もついてるんだし、大丈夫だろう」


安直な考えではあると思う。でも、息子を信頼してくれるのは有難い。


「大輔がいるから大丈夫という自信はどこからくるの?」


投げ掛けた質問に顏を上げ、呆れたように言い放った。



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