ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「そりゃ君を支えてきた自信が大にはあるからだよ。あの子がいなければ、君はとっくに人生を諦めていただろうからね」


大した奴なんだよ…と小さな声で褒めちぎった。
実の子でもないのに、どうしてこんな暖かい言葉が出せるんだろうか。



「拓磨さん……」


そんなふうに受け止めてもらったら、大輔の苦労も報われる。
幼い頃に私を守ろうとしてしがみ付いてきたことも、全てがいい思い出として浄化していける。


「ありがとうございます」


お礼を言うときょとんとされた。
その顔つきは、なんだか息子の祐輔さんともよく似ている。


「でも…貴方の息子も素晴らしい人よ」


社員が持っている能力を引き出すのが上手い。
意味もなく異動をさせているのではなくて、適材適所を探して動かしている。


「あいつの頭の中は数学的でつまらん。心情を推し量るのも苦手だし、自分の意思を話すことも苦手としている。
そのせいで無理をしようと何度もした。大のサポートがあるおかげで、商談も何とかスムーズにこなせているんだ」


「そんなふうに言わないであげて。祐輔さんはちゃんと人の気持ちが推し量れる人よ」


私が思春期の大輔に手こずっている時、何らかの手立てを加えてくれたんだろうと思う。

荒々しかった態度が急に優しくなった。
拓磨さんとの再婚を勧めてくれる気になったのも、きっとそのおかげだと思う。


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