ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
(言葉が足らないのは拓磨さんも同じね)


私の不安や嫉妬を知らないでいるでしょう。

大事にされればされる程、亡くなった奥さんに対してヤキモチを妬くんだということも知らないでしょう。

私の口からは言い出せない思いがあるんだというのをわかっていて欲しいけど、その眼差しに写っているのも私だけだと思いたいけど……。




(難しいこと…)


思い詰めてはいけない。

彼にとって人生の最高の思い出が彼女自身なのだから。




寂しい思いを抱きながら食事を済ませて自宅へ戻ると、家政婦の鈴木さんがいろいろと教えてくれた。



「昨日からお泊まりだったんです」


なんと、大輔の彼女は昨夜一晩泊まっていったらしい。


「しかも、どうやら真綾様のお知り合いのようで」


食事の支度をしているところへメッセージが届き、「ちょっと友人のところへ行ってきます」と後を頼まれたのだそうだ。




「えっ、蛍のことですか?」


私に質問されて真綾さんは少し困ったような表情を見せた。
どういう性格なのかと聞いたが、どうもそれがいけなかったらしい。


「蛍には少し吃るクセがあって、それを本人がかなり意識しているんです。
それで積極的には人と関わりを持たなくて、でも、根はとても優しくていい子です。
おばあちゃん思いな人で、私達の結婚式にも作ってもらった着物で出席してたくらいですから」


自分と友人の間では癒やし系なんだと笑った。


< 132 / 191 >

この作品をシェア

pagetop