ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「父親としての役目なら、もう終えもていいか?」


真剣な表情で尋ねるものだから、何をどう答えればいいか迷う。


「俺はずっと祐輔と大輔の親父として、二人共が世帯を持つまでは責任を持とうと決めた。
それが香菜子への悔やみにもなると思ったし、君にも認めてもらえる手段だと判断した。

でも、この最近は思うんだ。俺はいつまで、この父親としての役目を担い続けなければいけないのか…と」


60代後半には思えないエネルギッシュな眼差しを向けられて戸惑った。

そっと手を掴まれたことで、余計に心拍数が増加する。


「あの……それは私も同じなのよ……」


堪らなくなって声を絞りだした。
これまで口にしてこなかった苦悩や迷いを話すなら今しかないと考えた。


「私はいつまで香菜子さんの代わりをすればいいのかしら。命が尽きる日まで貴方からの愛を求めてはいけないのかしら?

ずっと堪らない思いでいたの。貴方が仏壇の前で彼女と話す姿を見かける度に、嫉妬を繰り返していたの。

もういい加減私だけのことを見てもらえない?でないと私は、何故この家にいるのか迷うばかりで……」


いい歳をして相手の気持ちが掴めずにいる私達は、これまで一体何を話し合ってきたのだろうか。
自分達の気持ちよりも先に、子供や会社のことだけを気にかけていたのだろうか。



「貴方の恋人にして下さい」


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