ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「それは、純香さんが一人で、考えてるだけかもしれないから…」


睨み付けるなんて100年早い。


「しれないからナニ?」


悔しいならその先を言ってごらんよ。


「だから……それは信じませんので!」


キッと鋭い視線を向けた。
大人しそうな女にしては強い目ヂカラに、一瞬ドキッとさせられる。


「し…信じないなら勝手にすればいいじゃん。私だって手を緩めたりしないからね!」



大ちゃんの彼女になるのは私って、ずっと幼い頃から思い続けてきた。

さすがに30を目前にして、いい加減にすれば?と自分でも思う。


いい大人がやるようなことじゃないのはわかってる。
ウソを吐いたり、どうでもいい見栄を張ったり、しなくてもいいんだと思う。


でも……


「私は大ちゃんの全てを知ってる。そういう人間が近くにいるってこと、あんたにわからせてやるから!」


長い間に培ったのは、嫉妬する気持ちだけじゃない。

大ちゃんからは何ももらえないから、相手の女を陥れることを覚えた。



「…………」


目の前にいる女は無言になって私のことを睨んでる。
どんなに鋭く見つめられても私の中に恐怖なんて生まれない。


私が怖いと思うのは大ちゃん本人に嫌われること。
それ以外の何も怖くなんて思わない。


必ずこの女からも大ちゃんを守ってあげる。

大ちゃんが私の胸で泣いたあの日からずっと、彼の味方は私だけなんだから。



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