ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
助手席の妹は今日もまた爪を噛んでる。
この最近集まりに来る度にこういう姿を見かける。

片思いの大輔には、今日もことごとくツレなくされていた。
奴の態度がハッキリと純香を拒否している。


寄せ付けまいと意識してやってる。
ケイちゃんという彼女がいるからだとは思うが、それ以上に何処かヨソヨソしい。



「……お前、大輔に嫌われてんじゃねーか?」


俺の無粋な言葉に指先が振れた。
爪を噛むのを止め、こっちを振り返る。


「なんで兄さんはそんなふうに人の気持ちも考えずにものを言うの?」


俺以上にお前は考えずに言うのにソレか。


「私だってそんなふうに意識したくないのに、兄さんから言われたら嫌でもそうなのかなって思うでしょ!」


「俺が悪いのか?」


「そうよ!悪い!」



「……あー、そうかよ」



弱り目に祟って悪かったな、って言ってやりてーカンジだけど。


「お前もそろそろ痛感してきてるんだろ?大輔とケイちゃんの間には入り込めないって、実感してるんじゃねーか?」


なんつーかさ、目が違うんだよな、これまでの女とは。

大輔は割とどんな女にも同じ目線を送ってきたつーか、いつでも手が切れるように接してたつーか、絶対にのめり込んだりしなかったんだよ。


ところが、ケイちゃんの前では違う。

俺や羅門のように、親しい間柄の人間にだけ見せる顔をしてる。



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