ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
そんでもって、この集まりには二度と首を突っ込むな。お前はボランティアとか、そういうガラじゃねぇんだ!」


どこまでも自己中心的でワガママなだけだ。
人の心を満たす前に、自分を満たす方を優先する。



「兄さんはサイテー!私をイジメて面白いの!?」


泣きっ面を見せて悔しがる。
いつまで経ってもガキくせー妹の頭にポンと手の平を乗せた。


「俺は兄としてお前を気遣ってるだけだ。救われない者を助けるのが念仏を唱える僧侶としての役目だからな」


家に帰ったら本堂で読経でもしてみろと言った。
読経をしながら、自分の気持ちと向き合えばいい。


「俺が思うに大輔とケイちゃんは相手の気持ちと向き合ってる。その時点で、お前には全く勝ち目がねーと思う」


純香は嫉妬だらけで気づいてないとは思うが、先週よりも二人の雰囲気は明らかに変わった。

互いを見る目が違う。

相手の気持ちも体も、全部が繋がった雰囲気がしている。



俺の言葉に返事もしないでいる妹の目に涙が光る。


中三の時と同じ光景。

こいつという女は、本当にいつまで経っても餓鬼のままだ。



(ホトケになれよ)


口にしたら怒りだしそうな言葉は呑んだ。

鼻にも唇にもピアスの穴を開けてる俺だけど、一応言ってもいいセリフかどうかくらいは見極めている。



「帰るぞ」




帰って読経。

そんでさっさとフられてしまえ。



< 158 / 191 >

この作品をシェア

pagetop