ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「大ちゃんの味方になるのも、彼女になるのも私しかいないと思ってきたから、今更他の人を認める気にはなりません」


本堂に響き渡る声が落ち着いてる。

その声を受け止めながら自問自答するのが大事だ。



「大ちゃんの寂しさを受け止めてやるのが私の役目だと信じてきました。大ちゃんに寄り添い、傷を癒してあげたいと思ってきた。でも……」



口にするのが怖い言葉ほど勇気がいる。

できれば言いたくもない答えほど、特に時間がかかる。







「………私じゃ…ないみたい……です……」



泣きそうになって声を殺した。


純香の目から溢れそうな涙を仏はただじ…っと見つめている。

その眼差しから目線を落とすと、ポタポタ…と涙が光って落ちた。



「私は……大ちゃんにとって…何だったの……でしょうか……」



途切れ途切れに押し出された言葉にも、仏は答えを出してはくれない。


どんな思いに対する答えも、出すのはやはり、自分以外にはない。




「……どうすればいい……」



迷っているわけではない。

既に出ている答えを認めたくないだけだ。




ぐずりながら涙を手の甲で拭う。


意を決したかの様に仏に目を向けた純香が、力強く言い放つ。


「大ちゃんに答えを聞きます。そして、その答えに応じる」



長い時間をかけて思いを募らせてきた妹が、やっと前を向こうとした。


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