ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
握り合ってる指ですら力むもんだから、緊張していることは直ぐにでも気づかれてしまったようで。



「可愛い」


ボソッと囁かれる言葉に胸が疼く。
そのうちに手は離されて、指先が自由に私の体を触り始める。



(あっ)


…と思う間もなく振り向かされ、口の中に滑り込んでくる舌先。

逃げ惑う隙も与えてもらえないくらいに舌を絡め取られて、あっという間に自分の口腔内に取り込んでしまう。

短い息と唾液の音だけが隙間から漏れて、それを聞くだけで身体中がゾクゾクとしてくる……。


唇から離れた舌先が首筋をなぞって胸の上を這う頃には、動悸を感じている自分が自分ではない気がしてきて、ブルブルと体が震えてしまう。




「…怖い?」


そう聞かれ、精一杯首を横に振る。

舌先を体から離した彼の手が伸び、髪を撫でてから甘い声で囁く。



「……感じてるのか?」


大きく胸が震えた。
上から見つめている瞳から視線も外せず、辛うじて瞼を伏せながら頷く。

「3回ヤったら飽きる」とかいうセリフはどこかに逃げて、自分は何度でも彼のことを感じていたいと自覚する。


小さく笑った唇が頬に落とされて、耳たぶに声が届けられた。




「……俺もだ」


ゾクッとする色気のある声と共に耳たぶを舐められ、全身が痺れの様な快感へと引きずり込まれていく。



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