ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
『ある。一応載ってる通りにしてみる。でも、重症化すると死ぬらしい』


『死』という文字にドキン…とする。
あのお寺で泣いた大輔さんを思い出し、胸の奥が騒ついた。



『大輔さん、平気?』


調子の悪い金魚を前に呆然としてるような気がする。


『どうもない。心配するな』


そう送られてきても気になる。

あの金魚はお父さんの形見であることは間違いないし、例えば私のことを思い出して連れ帰ったとしても、随分可愛がってるように見えた。


『今夜、様子を見に行ってもいい?』


会う約束はしてる。
彼の部屋を訪ねるかどうかまでは、決めてなかったけど。



『いいよ』


短い返事にホッとする。
でも、間髪入れずに届いた言葉に唖然とした。



『着替え持って来いよ』

『この間買った下着もな』


思ってもない文字が流れてきた。
まさか、この非常時にそんなリクエストをしてくるとは。



(ショックとか……感じてないの!?)


仮にもお父さんの形見が死んじゃうかもしれないんだよ?
それなのに、私の下着に注文付けてる場合じゃないでしょうに。




『……わかった』


呆れた結果、間を空けてから返事を送った。
いろいろと心配してたけど、急にバカらしくなってしまった。


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