ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「だって、午前中の大輔さんったら落ち着かなくて仕様がないのよ。再々私のところへ来ては何か言いたそうにするのに、何も言わずに逃げて行くし」

「こっちにもメッセージ流してきて聞くの。今朝のケイのご機嫌はどうだったか…って」


二人は呆れて、さっさと仲直りしておいで…と背中を押した。
仲直りも何も、ケンカなんてホントにしてないんだけど…。



(あんな目立つ所に立ってなくてもいいのに…)


躊躇いながら近寄っていくと、彼はスルッと姿を消す。



(えっ…?)


ビックリしてよく考えたら、廊下の隅に非常階段があった。



(見えない場所に移動してくれたってこと?)


噂とか目立つのが嫌いな私のことを考えてくれた?
それとも、話すも気も失せてしまったとか?


心配しながら廊下の端っこを覗く。

壁の切れ間から非常階段を眺めると、大輔さんは壁に凭れてこっちの様子を窺ってた。



「何?」


冷たくするつもりはない。
ただ、手早く話を切り上げたいだけ。


「こっち来いよ」


壁伝いに手招きをする。


「私、お昼休みなんだけど」


お昼ご飯も食べてないと言うのに。


「それはこっちだって同じ。でも、ケイの様子が気になったから降りてきた」


大輔さんと社長には特別に社食からランチが届けられる。
接待や会議で食べられない時もあるから、常に弁当形式になっている。


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