ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
裏メニューだからなかなか作ってくれないと言った。


「大輔さんは麺類が好きね」


ケイが笑う。
先週の土曜日も自分の実家で素麺を食べたらしい。


「ちっせー頃から食べ慣れてるせいかな。時々無性に食べたくなる」


副社長がラーメンとか素麺食べてる図っていうのも見ものだよね。



(なんかギャップ)


クスッと笑いが溢れた。
私がケイの友人でなかったらオフィスの上司の素顔も知らずにいたんだ。


談笑してるところへ湯気の立つパスタが運ばれてきた。


「いい香り〜〜」


くんくん…と匂いを嗅ぐケイをまたしてもからかう羅門という男。



「止めろって」


それを止めに入る副社長のカッコいいことと言ったら。



(あーあ、羨ましいなぁ)


何がって、あんなふうに庇われるケイが可愛いくてたまらない。


(私と真綾にとってもケイは癒し系なんだよね〜〜)


すぐに赤くなるし、縮こまるし、泣きそうな顔するし。


(でも、これが結構芯は強いからギャップなんだよ)


泣きそうでも泣かない強さがある。
決めたら曲げないような頑固さも持っている。


(ウダウダ悩む時間も多いけど)


即決できる人間じゃない。
迷うし悩むし戸惑うし。


(私と正反対な性格)


ツルツルとお箸でパスタを食べながら比べる。
一口食べるたびに、じっくり噛んでるところも正反対。


(あ……)


< 19 / 191 >

この作品をシェア

pagetop