ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「あるある。大あり!」


ハリのある声が太くなる。
浅黒い肌をした人は、興奮気味に聞いてきた。


「ケイから連絡がきたろう?」


ワクワクしたような顔をされ、(あのコックのことか)と気づいた。


「きました。つい先ほど」


会いたがってるけど、どうするかという内容だった。


「羅門が言うには、君に一言言っておきたいことがあるらしくて」


「言っておきたいこと?」


初対面だった私に何を言おうと言うんだ。


「急ぐんだけど、今夜にでも会えないかって」

「今夜!?」


呆れながら驚く。
昨日の今日でも驚くのに、今夜にでも言いたいことって何!?


「やっぱビックリするか」

「そりゃ誰でも驚きますよ」


しまった。
なんかタメ口に近い感じ。


「でも、羅門のヤツ今日が店の休業日らしくて、丁度いいから君さえ用がなければ是非に…と言ってきたんだけど」


頼むような感じだ。
副社長の友達だから顔を立ててあげないといけないのはわかるけど。



(うーん…)


今夜は英会話のレッスンがあるし、自分の都合で休んでもレッスン代金は支払わないといけないし。



(……でも、まぁいいか。一回分くらいなら)


昨日の夕食代を払ったと思えば同じようなもんだ。


「大丈夫ですよ。今夜なら予定もありません。(教室には後で電話をかけておこう)」


そう思いながら返事をすると、向けられた目が丸くなった。


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