ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
キュン、キュン、キュン……


切な苦しくなる胸の音を聞きながら、思わず経理部に向かってダッシュした。
走り続けながら過去の苦い経験を思い出した。


(私は同じことなんかしない。ケイの彼氏だと知りながら、あの人を好きになったりしない!)



ドアのところまで走ってきて、乱れた呼吸を整える。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」


口の中が乾いてしようがない。
なんとか潤そうと飲み込んだ唾液が、喉の壁に当たって痛い。



「…よしっ!仕事しようっ!」


痛みで冷静さを取り戻した。

とにかく自分の気持ちに余裕を持たせるのは止めておこう。
目の前にある仕事だけをひたすら片付けていくんだ。


「もう何も考えない!」


そう心に決めて入った部屋の中で、私は神経を尖らせたまま、黙々と仕事をこなしていったーー。




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