ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
(私だって好きで会いに行くんじゃないのよ)


文句を言うくらいならさっさと手を動かせばいい。
そしたら残業も短くて済むし、遊びにも行けるんだから。


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運転席に座ってる男の風貌を眺めて思い出していた。
この男の都合に合わせたから、私が恨まれる羽目になったんだ。


「…ねぇ、話って何よ」


ムカつきながら声をかける。
私は普段から初対面に近い人にこんな態度をとったりはしない。
どちらかと言うとお喋りではあるが、きちんとした話し方はできる方だ。


「メシ食ってからでいいだろう」


ハンドルを握る男が間を伸ばそうとする。


「いいえ、今すぐ話して」


間髪入れず断ると、今度は舌を打ってくる。


「チッ。可愛げねーの」

「ほっといてよね」


(チンピラみたいに見えるコックに言われたくないわ)


羅門という男の格好は、ハデな開襟シャツと膝下が隠れるくらいのズボンだった。
開襟シャツのカラーは外国風な感じのハデさがあって、短パンはそれにコーディネートされてるけど似合ってない。


「見惚れんなよ」


私の視線に気づき、ニヤリと笑みを浮かべる。


「誰が」


呆れて話す気も失せる。
暫くダンマリを続けていたら、運転席の男が聞いてきた。



「あんたとケイちゃんって、友達関係長いのか?」


やっぱりケイに絡んでくるのか。


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