ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
数える程しか会ってないはずの男は、ケイのことをきちんと理解していた。


「でも、そんなところが大輔の目に止まるんだよな」


ズキッとした痛みを胸に感じながら、改めてヒョウのような男を見直す。


「俺も含めてあんただってそう。あの二人の間に入ろうとしたってムダだって話」


「ちょっと……」


さっきから聞いてると何!?
私が副社長のことを好きだと言いたいわけ!?


「私は二人の間に入ろうなんて考えてない」


そもそも副社長のことを好きでも何でもないし。


「だったらあんな視線送るな」


ビクッとするような鋭い言葉を向けられた。


「大輔はお人好しなところがあるから困る」


お人好しだと言われた人のことを思い出した。


「うっそ。オフィスでは冷血漢とか噂される人よ?」



ブハッと笑い飛ばし、羅門という男が喋った。


「大輔が冷血漢!?そりゃねーわ」


あり得ねーな…と話す運転席の男の眼差しは前だけを向いている。


「ケイちゃんはなんて言ってる?」

「高級ではないと聞いたことがあるけど…」


それは私の呟きに言葉を返しただけ。
実際のケイは口が固くて、必要でないことは喋ったりもしない。



「あんたが見てる大輔は違う。ケイちゃんの見てる方がホンモノだ」


「本物…?」


奇妙な言い方だと思った。


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