ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
『うっそー!』


返事を送ったのは何度か目を擦って見直した後。
驚きを隠せない私に真綾は再び文字をくれた。


『本当。今夜うちにお泊まりラブだったよ♡』

(マジか…)


『負けたー』…と、泣き笑いのスタンプを付けて送った。

真綾からは、『蛍にイイ男紹介してもらいなさいよ』と、アドバイスがあった。



(イイ男か……)


よくよく考えてみれば、社長も副社長もまあまあのイケメンなんだよね。
社長の顔はあっさり系の塩タイプ。
副社長は濃いしょうゆ系って感じで正反対だけど。

社長は人付き合いが少ないから紹介できそうな人はいないって言われた。
そう言えば、二人の結婚式には、ほとんど友達らしい友達がいなかった気もする。


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(ブーケは私が受け取ったんだけどな……)


並んで歩くケイの横顔をチラ見して思った。
ケイには負けたくない気がしてたけど、やっぱり負けたか。


(まぁいいか、これでケイに自信がつけば)



「そう言えば、聖……」


見て欲しいものがあると言い、ケイはバッグの中身を取り出した。
ハガキサイズのスケッチブックみたいな物を差し出され、はい…と手渡された。



「なぁに、これ」


サイドに結ばれている赤いリボンを解く。


「大学時代に使ってたデザイン帳。いろんなことが思い浮かんだ時に細々書いてたんだけど……」

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