ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「オレの知ってる大輔のことをケイちゃんはきっと好きなんだと思う。
あいつが自分を女に見せたのなんて、多分ケイちゃんが初めてだろうし、彼女だと言って紹介されたのもあの子が初めてだから」


着いたぞ…と言って駐車場に車を止めた。
雑誌で騒がれるほど有名なレストランの前に着いていた。



「オレの味見に付き合えよ」


そう言ってさっさと車外へ降りていく。


(な、何よ…!)


ムッとしたまま外へ出た。

ドアの方へ向かって歩く後ろ姿に、アッカンベーをしたくなる。



「名前…」

「ん?」


振り向いた男の耳たぶでゴールドのイヤーカフが光った。
ケイが言ってたピアスとは、このイヤーカフのことか。


「下の名前何てったっけ」

「私?聖だけど」


「もしかしてクリスマスが誕生日とか」

「そうよ。悪い!?」


子供の頃から騒がれてきた。
プレンゼント倍貰えるの?とか、損だね〜とか。



「別に。いいじゃん覚え易くて」


オレが一番忙しい頃が誕生日なのか…と声を漏らし、ほら行くぞ…とドアを開ける。



「聖さん、どうぞ」


何の為に「さん」付けするんだ。


「悪いわね。羅門、さん!」


負けじと「さん」を付けてやった。

お互いに相手の顔を睨み付けながら、競うように店の中へと入って行った。



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