ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
店内ではじっくりとメニューを決めた。
決めたと言っても私に選択権があったわけではなく、羅門という男が勝手に決めたんだけど。


「前菜はサラダにして、メインは今日のオススメを両方。デザートはフルーツの盛り合わせとティラミスで」


自分の店でも出しているデザートを頼んだのはナゼか。
きっと味比べの為だと思う。



「…何だよ」


ジロリと睨まれた。


「いいえ、別に何も思ってないけど」

「だったらそんな顔して見るな。おっかねーから」

「おっかねー!?」


大げさに繰り返して口を噤む。


(あんたに言われたくないよ)


私よりも視線鋭いくせに。


「昨夜大輔を見てた時みたいに熱っぽい視線送られるならまだしも、敵を見るような目で見られる覚えはねーぞ」


のうのうと言ってのける。
自分は何様のつもりよ。


「あのね…」


タン!とノンアルコールワインのグラスを置いた。


「さっきから聞いてると何!?私が、いつ副社長のことを好きだと言った!?」


相手はケイの彼。
しかも、最近付き合いだしたばかりのアツい仲の二人だ。


「オレの言うことが違うと思うならそんなにムキになることもねーだろ」


せせら笑うように言い返された。


「オレはただ、あんたに『大輔を好きになるな』とクギを刺しておきたいだけだ」


「そんなこと、あんたに言われなくても……」


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