ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「あぁ?何?」


面倒くさそうな顔をする。


「さっきの言葉返しとく。ケイと副社長の間に割り込まないで」


友達と言うより保護者みたいな気分になってきた。


「あんたにケイは似合わないから」


「はあ?それを言うならあんたもだろ?大輔にはあんたみたいなズバズバものを言うヤツは似合わん」


お互いに睨み合って無言になった。
つまり、私達はどこかお互い似ているんだ。


「私は絶対ケイの彼を好きになったりしないわよ」


そんな不毛な恋を誰がするかって言うの。


「副社長がお人好しならケイはもっとかもしれない。自分には自信がなくて、いつも人の目ばかりを気にしているような性格だから」


私が副社長の声や態度にときめいていると知れば、勝手に引っ込み思案に陥る。

私や真綾には勝てないと思い込んでいる。

自分に無いもの持っているのはお互い様なのに、自分だけは別物だと思う。

そんなケイが手に入れた恋は、誰にも負けないくらい極上のものだと言うのにーー。



「……あんたには、わからないのよ」


運ばれてきた前菜のサラダを前に話すのを止めた。


「一旦、中断しようぜ」


コックらしい眼差しに戻った男の言葉に応じる。


「そうね。そうしましょ」


食事というものは楽しんでするべきだとマナー講師からも教わった。


「それじゃ改めて乾杯」


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