ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
パラリと開いたページの一枚目に手の平サイズのネコの絵が描かれてある。


「これは?」

「小さな子が握って遊べるおもちゃ。ソフト素材で出来てて、触るといろんな形に変わるっていうのがコンセプトでね…」


ニコニコしながら話しだすから私はすっかり驚いてしまって。


「ちょ、ちょっとケイ!」


思わず言葉を止めてしまった。


「ん?」


首を傾げるのはこっち。


「これ、いつ頃考えたの!?」

「んー、入社して間もない頃?」

「…だって、ケイはずっと検品課だったよね!?」


デザインもアイデアも、考えるのは商品開発部の仕事。
この最近、異動してから考えたと言うならともかく、その前から思いついてたってこと!?


「そうだったけど、私は誰でも扱える玩具ってどんなのかと想像するのが楽しくて……」


叔父さんが商品開発部の部長をしてることは知ってる。
同じ姓だし、時々オフィス内で話をしてるところを何度も見た。

ケイは人に注目されるのがキライで、すぐにでも逃げれる体勢で話してたけど。


「そんな前から考えたのに、なんで部長に売り込まなかったのよ」


地味な検品課の仕事に甘んじてることなんてなかったのに。


「だって、コネ入社だと言われるのもイヤだったし」


コネだろうが推薦だろうが、入ってしまえば同じじゃない。


「ケイらしいと言えばそうなんだけど〜〜」

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