ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
ケイは彼に何かを教えたんだろうか。
「ケンカ」という言い方をしたのは、ある意味マズかったかもしれないーー。
ポン…と柔らかい音が聞こえ、自分の部署のフロアへと踏みだす。
残念ながら副社長の姿はどこにも見えず、(なんだ…)と少し気落ちした。
「クスっ」
我ながらバカだと思ってしまった。
何をそんなに期待しているんだか。
元々副社長は最上階で仕事をする人であって、同じ階で働いているわけではない。
私なんかが軽々しく交流できる立場にあるわけでもなければ、接点が多いはずもないんだ。
彼の友人との付き合いも断ったんだから、これまで通りすれ違っても会釈して終わるだけの関係に過ぎない。
どんなにメガネを外してみても変わらない。あの人の視界に私は入ったりはしないーー。
諦めながらいつものように経理部のドアを開けた。
中にいた部署のメンバーから「メガネはどうしたの?」と聞かれまくる。
「へぇー、イメチェン?」
「掛けてないと別人っぽいよね」
「人柄が柔らかく見える」
「デキる人じゃなくて、フツウの人っぽい」
「先輩、女子力増してますよ!」
隣の席の後輩からも思わぬエールを貰った。
「だから、昨日できなかった仕事の残り手伝って下さい!」
なんだ。やっぱりお世辞なのか。
「貸して」
「ケンカ」という言い方をしたのは、ある意味マズかったかもしれないーー。
ポン…と柔らかい音が聞こえ、自分の部署のフロアへと踏みだす。
残念ながら副社長の姿はどこにも見えず、(なんだ…)と少し気落ちした。
「クスっ」
我ながらバカだと思ってしまった。
何をそんなに期待しているんだか。
元々副社長は最上階で仕事をする人であって、同じ階で働いているわけではない。
私なんかが軽々しく交流できる立場にあるわけでもなければ、接点が多いはずもないんだ。
彼の友人との付き合いも断ったんだから、これまで通りすれ違っても会釈して終わるだけの関係に過ぎない。
どんなにメガネを外してみても変わらない。あの人の視界に私は入ったりはしないーー。
諦めながらいつものように経理部のドアを開けた。
中にいた部署のメンバーから「メガネはどうしたの?」と聞かれまくる。
「へぇー、イメチェン?」
「掛けてないと別人っぽいよね」
「人柄が柔らかく見える」
「デキる人じゃなくて、フツウの人っぽい」
「先輩、女子力増してますよ!」
隣の席の後輩からも思わぬエールを貰った。
「だから、昨日できなかった仕事の残り手伝って下さい!」
なんだ。やっぱりお世辞なのか。
「貸して」