ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「君の様子が気になるから一緒に話を聞かせて欲しいと言われてたんだ」
パタン、と閉まるドアの音を聞いて慄く。
強張った状態のまま動けない私の側に来た彼女が、そっ…と腫れ物に触れるかのように指先を伸ばした。
「聖………」
何も言えないふうな彼女に、私がどんな言葉を掛けられるだろう。
「ごめっ……」
口にした途端、涙が溢れ落ちた。
「ごめっ……ごめん…っ……ケイ…!」
「ううん…」
謝ることじゃないと言いたげに、首を横に振られる。
いつも自信の無さそうな顔を向けていたケイが、もう一度「ううん」と強く声を漏らした。
「ごめんね。……聖…」
反対に謝りだした彼女の方に向き直った。
目頭に浮かんだ涙を見遣りながら謝るのは自分だと言うつもりで口を開けたら。
「大輔さんだけはムリなの。誰にも譲れないし、代わりもないの」
ハッキリと吃ることもなく言い払った。
目の中に潤み過ぎるくらい溜まった涙も一筋も溢さずに言い続ける。
「大輔さんでないと困るの。だって、聖や真綾よりも、もっともっと大事な人なんだもん。だから……」
謝罪の意味はそれでか。
そんなの、当然のことなのにーー
「当たり前じゃん」
その当たり前を言わせたのは私なんだ。
「それでいいんだってば、ケイ!」
パタン、と閉まるドアの音を聞いて慄く。
強張った状態のまま動けない私の側に来た彼女が、そっ…と腫れ物に触れるかのように指先を伸ばした。
「聖………」
何も言えないふうな彼女に、私がどんな言葉を掛けられるだろう。
「ごめっ……」
口にした途端、涙が溢れ落ちた。
「ごめっ……ごめん…っ……ケイ…!」
「ううん…」
謝ることじゃないと言いたげに、首を横に振られる。
いつも自信の無さそうな顔を向けていたケイが、もう一度「ううん」と強く声を漏らした。
「ごめんね。……聖…」
反対に謝りだした彼女の方に向き直った。
目頭に浮かんだ涙を見遣りながら謝るのは自分だと言うつもりで口を開けたら。
「大輔さんだけはムリなの。誰にも譲れないし、代わりもないの」
ハッキリと吃ることもなく言い払った。
目の中に潤み過ぎるくらい溜まった涙も一筋も溢さずに言い続ける。
「大輔さんでないと困るの。だって、聖や真綾よりも、もっともっと大事な人なんだもん。だから……」
謝罪の意味はそれでか。
そんなの、当然のことなのにーー
「当たり前じゃん」
その当たり前を言わせたのは私なんだ。
「それでいいんだってば、ケイ!」