ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
ぎゅっと背中に腕を回して抱きついた。
私の背中に触れる彼女の指が、最初のうちはオドオドしていた。

温もりを確かめるように二、三度上下を繰り返した。
それから、ぎゅっとブラウスの袖を握った。



「ひじ…り……」


私の大切な友達…と囁く声が胸の奥に沁みていった。
心の奥底にしゃがみ込んでいた孤独な自分に、彼女の手が届いてきた気がした。




「ケイ…!!」


一人じゃないんだと教えられた。

私がこのオフィスで一番最初に声をかけた友人。

緊張しまくっていた横顔を和ませてやろろうと思った。

どこか上から目線的な私を頼って、いつも慕ってくれていた。


悩みを真剣な表情で聞いてくれた。

どんな時も、「ありがとう」という言葉を投げ掛けてくれた。


私はそんなケイのことをーーー



「大好きだよ。ケイ……」


今までで一番、大切で大事な友人。

だからこそ、絶対に幸せになって欲しい。




グスン、グスンと泣き続ける私たちのことを、副社長は知らん顔で待っていてくれた。



「……もういいんじゃねぇか?」


お互いの涙が乾きだした頃を見計らって声をかけられる。
アイメイクが崩れかかってる眼差し同士をぶつけ合い、お互い小さく笑みを作った。


「…ケイ、仕事は?」

「そういう聖こそ大丈夫なの?」


「私は後輩に任せてるから大丈夫なはず」

「私もデザインを考えてきますと言って出てきたから平気」


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