ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「だったらもう少しサボる?」

「うん、カフェテリアでコーヒーでも飲んで………あっ…」


マズいものを見つけたように視線を向ける。
振り返ると、呆れたような顔をした副社長が立っていた。


「俺の前で堂々と仕事をサボる相談か?」


マジやめろよな…と冗談っぽく笑った。
それから、仕方ねぇな…と呟き、時計を袖口から覗き込んだ。


「30分間だけ認めてやる。その代わり俺の見てないところでサボれよ」


先に行く…とケイに声をかけた。


「ありがとう。大輔さん」


お礼をいうケイの顔は眩しく光っている。
頷きながら頭の上に手を乗せた副社長が会議室を出ていく。
その背中を見つめながら、改めて思い知った感想を口にした。



「幸せそうだね。ケイ」


「そそそ、そんなでも……」


吃りの戻った彼女が言い淀む。それから呟くようなボリュームの声が、ポソリ…と聞こえてきた。



「…あるよ」


会議室のドアを開けながら肘で背中を突いた。
真綾も誘おうという話になり、二人でLINEのメッセージを送る。



『オッケー!』


返ったきた答えを喜びながら、私達は声を潜めてエレベーターへと乗り込んだ。



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