ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
(そうよね。今日は週末で忙しそうだもん……)


この間のような日ばかりが続いてたら大変。
お店が繁盛しているのはいいことだけど、若干つまらないな…という物足りなさを感じてしまう。
一人きりの食卓を囲むのは慣れているのに、今日に限っては面白くない。


(あーそうか、この後の予定が無いからだ)


自分の部屋ならやらなきゃいけない事は多くある。
まだ取得できてない資格の勉強や撮り溜めたテレビの講座を見たりもできる。

その全てがない空間での食事は、つまらないけれど少し癒された。


店内に静かに流されている曲はギター曲で、聞き覚えのあるJーPOP集のようだった。 

窓際の席から見える風景は、海が次第に闇の中に引き込まれそうになっている。

一枚の絵画を見ているような雰囲気の中で食べる食事は、寂しいと言うよりも落ち着いた。



「ほらよ。サービス」


つっけんどんな物言いで差し出された皿の中を見つめた。


「これ……」


この間のレストランで食べたメインディッシュにも似ている。


「真似してみた。つーか、オレのオリジナル」


食って感想を聞かせろとせっつく。


「もう結構お腹一杯なんだけど」


悪態をつきながらもワクワクしてスプーンとフォークを手に取る。


スッと骨から切り離れていくアバラ肉の塊。
それをボルドーワインのソースに絡めて、パクリと一気に口へと入れた。


「んんっ!」


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