ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
混ぜ込んだモノを口に入れ込み、キュッと冷たさを味わう。


「……絶対に交わらない。でも、一緒になっても悪くない」


「上手いこと言うな」


「そんな関係でもイイ?」


「先ずはそこから始めればイイんじゃん」


「だったら……」


カチャ…とスプーンの背を上にして皿に置いた。


「先ずはお互いを名前で呼ぶところから始めませんか?羅門さん」


無理矢理ではなく、普通にさんを付けた。


「ああ。そうしよう。聖……さん?」


やっぱり慣れねーな…と呟いた男は、私の冷めた目線に気づいて咳を払った。


「よろしく。聖さん」


差し出されて手を見つめて握り返した。


先ずはそこから。

そこから新しくホッとする恋を始めよう。


「よろしくお願いします」と声に出した。

友人と上司に負けないカップルに、私達もいつかはなれるとイイなと思うーーー。




『白衣と赤縁のメガネ』おしまい。
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