ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2

社員は将棋の駒ですか?

翌週の木曜日辺りで時間を作れと言われた私は、自分から聖と蛍を夕食に誘って辞退した。


「たまの女子会もイイね〜!」


資格取得が趣味の聖は、この間から通っている英会話教室の話をする。
その隣でうんうん…と頷き返すのが、アガリ症ですぐに吃ってしまう蛍。


入社式で三人が並んで座ってたことから友達になった。
社食で一緒になったら食事を共にしたり、都合が合えば皆で休みの日に会ったりもしている。

二人は私のことを完璧な女子だと言うけれど、私はそんなふうに自分のことを思ったり考えたりしたこともない。

中学から大学までストレートの女子校へ通ったせいもあり、下級生や同級生から同じような羨望の眼差しを受けてきたこともあったけど違う。




(これが家では意外と気の抜けた性格なんだよね〜〜)


暇な時は朝からずっと部屋着でいる。
ゴロゴロと寝転がるのがホントはスゴく大好き。

社長付きの第二秘書の実態はコレだ!と、スクープされてもおかしくないくらい、いい加減な生活ぶりなんだ。


「どうしたの、真綾?」


蛍の心配そうな目が覗き込んでいた。


「さっきからちっとも食事が進んでないよ」


ボンヤリと考え込んでいたせいか、箸の先が全く汚れてもいない。


「自分から誘っといてそれってどういうの?具合でも悪くなった?」


ほらほら飲んで…と聖がグラスにビールを注ぐ。


「うん。ごめん。何でもない」


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