ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
君の宝物は何
社長からのお誘いを受けたのは、その週の土曜日だった。
予め木曜日に時間を告げられていたから、心の準備はすっかり出来上がっていた。
お休みだけど、社屋ビルの前で待っておくよう言われていた。
約束の午前11時を過ぎた頃、地下の駐車場から一台の車が出てくる。
エンジンを吹かせて、タイヤの音を軋ませる。
荒っぽい運転だな…と運転手の顔を窺って見ると、なんと社長の祐輔さんだった。
「待たせたな」
ウインドーを下げて顔を見せる。
社長の車は大型の四輪駆動車で、しかも色は不似合いなブラック。
ボディはワックスで磨き上げられててピカピカで埃の一つも付いてない。
目にはいつも掛けないはずのシルバーフレームのメガネが掛かっていた。
服装はストライプのシャツとVネックセーターの重ね着。
砕けた雰囲気の彼を見たのは初めてで、ついドキッ…と胸を弾ませてしまった。
「いえ、そうでもありません」
なんとか動揺を隠して答えた。
乗るように促す社長に頷き、助手席側の方へ回る。
ドアレバーを引こうとしたら勝手に開いた。社長が中からドアを開けてくれていたんだ。
「ど、どうもすみません…」
ドアを開けてもらった経験なんてないから戸惑った。
社長は何も言い返さず、フッと笑っただけだった。
柔らかい笑みを見せたのも初めてだった。
増してくる鼓動に耳を傾けながら目を伏せて車の中に乗り込んだ。
予め木曜日に時間を告げられていたから、心の準備はすっかり出来上がっていた。
お休みだけど、社屋ビルの前で待っておくよう言われていた。
約束の午前11時を過ぎた頃、地下の駐車場から一台の車が出てくる。
エンジンを吹かせて、タイヤの音を軋ませる。
荒っぽい運転だな…と運転手の顔を窺って見ると、なんと社長の祐輔さんだった。
「待たせたな」
ウインドーを下げて顔を見せる。
社長の車は大型の四輪駆動車で、しかも色は不似合いなブラック。
ボディはワックスで磨き上げられててピカピカで埃の一つも付いてない。
目にはいつも掛けないはずのシルバーフレームのメガネが掛かっていた。
服装はストライプのシャツとVネックセーターの重ね着。
砕けた雰囲気の彼を見たのは初めてで、ついドキッ…と胸を弾ませてしまった。
「いえ、そうでもありません」
なんとか動揺を隠して答えた。
乗るように促す社長に頷き、助手席側の方へ回る。
ドアレバーを引こうとしたら勝手に開いた。社長が中からドアを開けてくれていたんだ。
「ど、どうもすみません…」
ドアを開けてもらった経験なんてないから戸惑った。
社長は何も言い返さず、フッと笑っただけだった。
柔らかい笑みを見せたのも初めてだった。
増してくる鼓動に耳を傾けながら目を伏せて車の中に乗り込んだ。