ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「おはよう」
声が聞こえてビクッと肩が上がった。
部屋の奥に置いてある机に付いている人が、埴輪のような口元をしたままで私のことを見ている。
「そんなに驚かなくてもいいだろう」
柔らかい笑みを噛みしめるように言った。
「だ…だって、誰もいないと思ってたから……」
驚き過ぎていつも通りの言い方をしそうになり、慌てて社長だった…と思い直した。
「お、おはようございます。社長」
気を取り直して挨拶を返した。
社長は声に出さず、わかっているように首だけを軽く項垂れた。
「今朝はスゴく早いですね。お一人で出社して来られたんですか?」
あの荒っぽい運転で…と言いたくなるのを控えた。
大抵は副社長の大輔さんの運転でオフィスへ来ていると言っていたし、たまに外商関係で一人でオフィスへ来ることはあっても、こんなに早くは珍しい。
「昨夜から泊まり込んでいるんだ」
驚くような言葉を聞いて振り返った。
副社長のデスクを拭こうとしていた手を止め、「何かあったんですか?」と尋ねた。
「別に大したことじゃないよ」
急ぎで片付けなければいけない案件が持ち上がっただけだと言う。
社長が直に片付けなければいけない案件なんて、これまでは一度もなかったはずだ。
あるとしたら、オフィスの存続について関わることでもないとーーー
「……危ないんですか?」
声が聞こえてビクッと肩が上がった。
部屋の奥に置いてある机に付いている人が、埴輪のような口元をしたままで私のことを見ている。
「そんなに驚かなくてもいいだろう」
柔らかい笑みを噛みしめるように言った。
「だ…だって、誰もいないと思ってたから……」
驚き過ぎていつも通りの言い方をしそうになり、慌てて社長だった…と思い直した。
「お、おはようございます。社長」
気を取り直して挨拶を返した。
社長は声に出さず、わかっているように首だけを軽く項垂れた。
「今朝はスゴく早いですね。お一人で出社して来られたんですか?」
あの荒っぽい運転で…と言いたくなるのを控えた。
大抵は副社長の大輔さんの運転でオフィスへ来ていると言っていたし、たまに外商関係で一人でオフィスへ来ることはあっても、こんなに早くは珍しい。
「昨夜から泊まり込んでいるんだ」
驚くような言葉を聞いて振り返った。
副社長のデスクを拭こうとしていた手を止め、「何かあったんですか?」と尋ねた。
「別に大したことじゃないよ」
急ぎで片付けなければいけない案件が持ち上がっただけだと言う。
社長が直に片付けなければいけない案件なんて、これまでは一度もなかったはずだ。
あるとしたら、オフィスの存続について関わることでもないとーーー
「……危ないんですか?」