五月雨物語
雨の落としもの。
あたしの名前は由良。

ごくふつ~のOL。

20代最後の年。

いくつになっても中身は

さして変わらないのに

年だけがどんどんおっきくなる。

何かを始める時、もう遅いかも

って思ってしまうのは

あたしの悪い癖。

いつもいつも年のおばけに

追っかけられてる感じ。


そんなあたしは今日も

都心に向かう電車に揺られて

窓から見える川沿いの桜を見てた

雨に降られて散りかけの

淡い薄紅色を・・・

いっせいに咲き誇って

散ろうとしてる彼女達は

とっても綺麗で儚げで・・・

まるで今のあたしみたいに

少し悲しくみえた。
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