五月雨物語
あたしは、最後なのに

シャンパンを入れなかった。

それが、せめてもの

あたしのサクラさんに対する

感謝の気持ちであり

罪悪感の証だった。

ずっと、塁を見てきた。

理不尽なやきもちも妬いてきた。

でも、塁は少なくとも

あたしの気持ちを

ちゃんと受け止めてくれた。

それがどんなに幸せなことか

身に染みた。

あたしは

サクラさんのことを思う時

自分がどんなに傲慢で

我儘なのかを、思い知る。


ドンペリコールの影で

泣いていたと言うサクラさん。

幸せになってほしい・・・

心からそう思う。
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