五月雨物語
あたしは、塁に
何度かメールしたけど
返信はなかった。

寂しさに流されて
あたしは翔に会いに行った。

翔はいつも変わらず
あたしを笑顔で迎えてくれた。

会いたい時は
オープン前に来てくれた。

他の人とは比較できないけど
翔としては
精一杯のことをしてくれたんだろう

何よりこのやっかいな
ジェットコースターみたいに
上がったり落ちたりする感情を
しっかり受け止めてくれていた。

それは今思い返しても
営業以上のことだったと思う。


仕事に偏見を持っていた私が
「嘘つき!
翔のの何を信じたらいいん!」
ってパニックっても

「不安を現実に変える妄想は
お前の悪い癖や。
俺の全部を信じろ!」
って言ってくれた。

翔は何もかもを許してくれた

携帯のメールはそんなやりとりで
毎日埋め尽くされていた。

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