五月雨物語
もう、九時半を回ってる。

あたしは焦ってタクシーで
教えられた病院へ急ぐ。

これじゃ、花見どころじゃない!

錬ちゃん、大丈夫なの~??

病院は少し北へ
上ったところにあった。

静まり返った病棟を
明かりを頼りに小走りに歩く。

「すいませ~ん!
今日入院した小橋の身内ですが
錬太郎、どんな様子ですか?」

「あ~、小橋さんね。
お姉さん? 大変だったわね~。
でも足の骨折だから大丈夫よ!
でも、もう消灯時間ですし
悪いけど明日
出直してもらえますう?」

あ~、とりあえずよかった!

安心してあたしは
急いで集めた着替えだけを渡し
一旦帰ることにした。

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