五月雨物語
店は道路を渡った反対側の

小さなビルの1階にあった。

彼は誰かに電話していた。

「友達?」
「うん。」

あたしはほろ酔い気分だった。

ドアを開けると暗くて

一瞬何もみえなかった。

「い~らっしゃいませ~っ!」

普通のバーじゃないことを

敏感に感じた。

え~!これは・・・

気づいた時はもう遅く

スーツ姿の男の子達が

一斉にこっちを見た。

あ~何、これ?

俗に言うホストクラブう?!

どおいう事?

ムカムカきれそうになってると

あいつがお絞りを持ってきた。

「ごめん。どうしても

来てほしかったから。」

「嫌だよ!こんなとこ、無理!」

「んなこと言わないで。

今日は俺が奢るから~」

悪びれもせずに微笑むあいつ。


うちらの出会いは

あいつの気まぐれな嘘と

あたしのやっかいな好奇心から

始まってしまったんだ。
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