五月雨物語
雨が本降りになってきた。

車が路面を弾く音だけが

静まり返った街に響く。

「あのさ、

あたし何もできないけど

今、仕事わりとうまくいっててさ

だからって訳じゃないけど

バイク、半分手伝おうか?」

自分の思い付きが

どうとられるのか心配だった。

「いや、気持ちは嬉しいけど

俺、自分でなんとかする。

さんきゅーな!」

意外とあっさり断られて

どうしたらいいか

わからなくなった。

「ごめんな。こんな話して。

さ、俺そろそろ店行くわ。

仕事はできないけど・・・

今日はナオに送ってもらうから。

・・・てか、おまえ

もしかして誕生日だったの?」


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