五月雨物語
ワインで酔っ払った塁は

やたらと

俺様は、俺様は、って

連発しながら

六本木の交差点まで歩く。

どうしても、あたしに

年上ぶらせたくないところが

ほんとに、笑えた。

前に来たことがある

アマンドの近くにある

踊れるバーに連れて行った。

年末の店内は、満員だった。

少しして、あたしが

フロアーに出て踊り出すと

塁も負けじとばかりに

人にもみくちゃにされながら踊って

あたしが外人にナンパされると

自分も女の子に話しかけてた。


「絶対ナンパされるけどどうする?」

って意地悪言ったら

「平気だよ~!俺もされるもん。

ユラは、気にせず楽しみな~!」

って、余裕ぶってた。


負けず嫌いはお互い様!

と、踊る塁を横目で見てたっけ。

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