五月雨物語
夜がふけるにつれ

店はどんどん混んできた。

盛り上がる店内で

時間も忘れて踊ってた。

「あ~!もうこんな時間だ!

終電大丈夫う??

間に合わなくなっちゃう~!」

ふたりで慌てて

むせ返る店を飛び出す。

塁は今夜も仕事なのだ。

人であふれる駅を

小走りですり抜けて

ふと、後ろを振り向くと

塁がいない!

あ~、迷子になっちゃった?

必死で追いかけてくる塁。

「置いてくなよ~!」

なんとか滑り込んだ電車で

「偉かったね~!

やきもちやかないで。」

「よゆ~!

俺もマジ楽しかったぜ。」

って笑いあった。

初めての六本木デートは

愉快に幕を閉じた。

< 89 / 240 >

この作品をシェア

pagetop